マスカレード・ホテル (2018) 

文字数 1,032文字

【ちょっとアナクロ】  2019/1/18



木村さん(キムタク)のシネマは好きだ、
盤石とでも言ってよい安定感があって期待を大きく裏切られることは少ない。
今作では、おちゃめな敏腕デカを演じているがこれ以上のフィット感は望めないくらい
役に溶け込んでいる。
「こんな素敵な刑事さんがいれば日本は安心だ」
・・・と云うくらいの非現実感は木村さんでしか演じられない。

さて、本作はポリスストーリーというよりはクライムシネマの比重が強く、
一貫して警察は犯人に振り回される。
その謎を解明するのは、当然のように木村さん演じるスーパー警官、
お約束通りの役柄に溜め息が出そうだった。

タイトルのマスカレードは仮面舞踏会のこと、
ホテルに集う紳士淑女はみな仮面をかぶったサイコ集団という決めつけが強烈だ。
シネマではその仮面ぶりをかなりの時間を使ってプレゼンテーションしてくれる、
一方で殺人予告があるというのに・・・。

この仮面のお客様方が吹っ掛ける無理難題を、
にわかホテルマンの潜入刑事が対応するというシチュエイションコメディも含まれる。
なんと欲張りなシネマだことだけど、これも木村さんの得意領域 
いやファンが期待するところなのだろう。
すったもんだで、謎だらけの予告殺人事件捜査と潜入捜査官のドタバタが
大団円にいたるのも予定通り(原作は知らないが)。

さて問題は 木村さんのお相手のホテルパーソン長澤ますみさん。
これでもかというばかりの木村さんのドアップショットに付き合わされる。
「セカチュー」以来の美女優だといまだに僕は言い切るのだが、
そこはそれ加齢の影はしっかりと忍び寄る。
それにしても木村さんの撮り方が入念、懇切、丁寧だ。
木村さんが中年男の魅力をここぞとばかり振りまく一方、
女優長澤さんへの配慮が不足気味だったと感じたのは、ファンの僻みだけではない。

もっと問題だったのは、ホテル群像劇をマスカレードなどとメタファーしていること。
いまどき ホテルを訪れるお客様が仮面などをかぶっているという設定が苦しい。
長引く景気低迷と富の格差拡大でもう誰も仮面など必要としない、
たとえ東京の高級ホテルでも。
そのくらい階級の色分けが進行しているなか、
仮面が通用するほどエスタブリッシュメントは甘くないだろう。

その一方で高級ホテルのサービスの実態の貧困さが近年明るみになっている。
木村さんにぴったりのニューヒーロー登場シネマではあるものの、
そんな違和感がずーと鑑賞中頭から離れなかった。

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