ボビー・デアフィールド(1977)

文字数 419文字

【結局はアル・パチーノを愛でる】 1978年3月15日


シドニー・ポラック監督は夢想家だが、その夢の中に社会批判を盛り込むほどのリアリストでもある。
本作でその夢は、アル・パチーノとマルト・ケラー「愛と死を見つめて」物語となっている。
かなりの部分でアル・パチーノの男の切れ味に依存してはいるものの、シネマは「死」に真正面から向き合う。
その時(死に直面して)主人公は何を考えどう行動できるか? 素直になるとはどういうことか? だれもがいつかは迎える死であるがゆえに、だれもがそのことを真剣に考えたくはない。

そんな堅苦しいテーマを、ポラック監督は豪奢華美の雰囲気の中で語り変えてくる
・・・愛もいいけど死も考えないとね。
死を意識した時、生は一層楽しく価値のあるものになってくる。

美形のアル・パチーノにそんなことをささやかれても、理解するファンはそうたくさんいないだろう。
結局本シネマは、アル・パチーノのためのものだった。

(記:1978年3月15日)
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