タブロイド (2004)

文字数 672文字

【TV放映されるとそれは真実になる】 2007/7/13



初体験のエクアドルシネマだということで興味津津だった。
原題が「CRONICAS(記事)」、邦題もタブロイドということから想像できるように、
本シネマはマスコミ取材・報道における自由、自由に巣食う独断のあやうさと欺瞞が描かれている。「正義」を大上段に振りかざしていないところが現実的で、僕も本音を突かれた気分になった。

TVのドキュメンタリークルーが連続児童虐殺事件を自分達の中でコントロールする・・・よく聞くお話だ。当然のように矛盾と恐怖の展開となる
それと平行して殺人鬼をインタビューする過程で罪人とその家族の実態を白日にさらしだす。
この理屈は、加害者の権利より、まずは被害者のそれを尊重しようという、
至極全うな常識がやっと論議されだした現在日本の精神世界より劣るものなのか、野蛮なものなのか?
信じがたいことだが、横行するリンチはエクアドルにおいては、ある側面の正義、見識なのか?
重たい命題を突きつけられる。

ところで本シネマのテーマの流れの底に「TV放映されるとそれは真実になる」というスリーラーが見える。
このスリラー誰が笑って「たわごと」と否定できるだろうか?
確かに、何をいまさらだが、いまだからこそもう一度
「真実はTVにはない」ことを思い返す時代なのかもしれない。

何をもってTVからの情報を「真/まこと」だと評価するのか?
ひとりの経験と頭脳ではとうてい足りるものではないし、それこそ独断の謬ち、孤高の無力に陥る。
人に伝え、人から聞く、それに僕たちには数千年を超える英知の蓄積があるはずだ。
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