シャンハイ (2010)

文字数 709文字

【謙さん 上手なのはいいんだけど・・・】 2011/8/21




ジョン・キューザックのシネマだ。
三顧の礼で招かれたかどうかか知る由もないけど、アジア俳優が豪華にキャスティングされている。太平洋戦争直前のシャンハイを舞台にすれば当然といえばそれまで。
チョウ・ユンファ、コン・リーとはそれにしても豪華絢爛。
一昔前であれば、オファーできる日本人俳優がいなかったことを思えば謙さん、凛子さんの存在が眩しい。
以上は古くからのシネマファンの一人悦溜息ではある。

ストーリーは男女(それも複数コンビネーション)の愛情縺れをミステリーでカバリング。
アメリカのスパイも、日本木軍情報部の親分も、シャンハイのマフィアの頭目も弱点は【女性】だったというオチは実に平和的だ。
彼らは皆、やさしさを心の奥に潜めて戦争に突き進んでいったのだとすれば、戦争責任はどこにあるのだろう?
結局、抗日レジスタンスを貫いていく女性闘士(コン・リー)が一番輝いていた。

日本の立場はきわめて微妙である。
ナチがヨーロッパを侵略し、日本がアジアを強奪する構図が明確に描かれる。
実際シネマの中での日本軍の行動には妙にリアリティに満ち溢れている、当然「悪」としてのそれだけど。
その悪の元締めとして情報部大佐(謙さん)がリアルに感じられれば感じられるほど、侵略者の悪は高まる。
謙さんが単純な残虐非道軍人を演じるはずもなく、人間性を垣間見せる演技の中に僕は複雑な想いを禁じえなかった。

僻みなのかもしれないが、当然ハリウッドも中国マーケットを確りと見据えている。
アメリカのスパイが中国女性ゲリラに恋し、
腑抜けた日本軍人がその二人を逃がす・・・・
あまりのメタファーに腰が抜けそうだった。
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