6才のボクが、大人になるまで。 (2014)

文字数 604文字

【奇跡のシネマ】 2014/11/16



少年時代12年間の成長過程を描くシネマだ、・・・と言ってしまえばそれまで。
恐らくアメリカでは至極当たり前の少年と家族の物語なのだろう。
両親の離婚、母親の再婚、アルコール依存症と家庭内暴力、(おそらくは)プライムローン被害などの困難な歴史がある一方、
女性の独立、広範な教育機会、古き良きアメリカの伝統、そして友人や恋人など・・・少年の未来への可能性が眩しく描かれる。

「ビフォア シリーズ」の監督らしく、本シネマは同一のキャストで12年間製作している。
その意味では、近年アメリカの現状を市民視点で垣間見ることができる。
12年間というのは簡単だが、それを本編にまとめ切ってしまう脚本の周到さが先ずは特筆されるべきだろう。
少年の成長過程は映像で観えるとおりだが、彼を取り巻く環境の変化を可能な限り自然に導いてくれる。
特に、母親の複数の結婚による家庭環境の変化への切り替えには違和感がなかった。
家族である、母親、父親(生物学的な)、姉も当然12年間の歴史を重ねる。
子供たちが成長するのに反して親たちは衰えていく残酷な真理に、僕自身はちょっと狼狽えてしまった。
リアリティを追求するところに、人生の陰が見えてくる。

それにしても、
12年間小さな子供が演技をしながら成長し、大人の俳優たちも欠けることなく、これまた老成しているのは奇跡に近い。
リンクレイター・メソッドの集大成シネマだった。
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