リチャード・ジュエル (2019) 

文字数 899文字

【冤罪は誰のせい?】 2020/1/17



1996年のアトランタオリンピック開催時の爆破事件・・・ほとんど記憶にありません。
事件の爆弾第一発見者が英雄から一転して容疑者(ほぼ犯人)として扱われたこと
・・・全く知りませんでした。
こんな悲劇、許せない冤罪を今一度僕に教えてくれたクリントになによりも感謝しています、
クリントこれからも元気でね。

シネマはなぜ彼が犯人として疑われるようになったかをかなり丁寧に描いてくれます。
この時点で顧客(観客)はジュエルに一体化されてしまします、
クリントの手練手管にまたまた嵌まります。
そして爆弾発見と被害を食い止めた英雄から犯人扱いになる経過も事細かく再現してくれます。
その要因の一つが「権力」。
もともと権力志向の強かったジュエル、と言っても法の執行官に憧れただけなのですが、
をFBIのプロファイリングの枠に無理やり閉じ込めてしまいます、
権力志向の馬鹿者の一人芝居と・・・。
その裏付けたるや民間人のタレコミですが、ただこの人物が権力側にいることが問題でした。

その要因の二つ目が「メディア」。
確実な証拠のない情報をメディアが流すのは決まって功を焦った時です。
そしてメディアの大好きな「手のひら返し」のサプライズ。

権力とメディアに見込まれたとき一人の一般人には抵抗する術は残されていません。
シネマでは向こう意気の強い反権力弁護士がたまたまジュエルの友人だった
という設定になっていて、痛快な反撃シークエンスがシネマのお楽しみになっています。
どんなに真実を叫びたてても権力とメディアの壁を崩すことはできない
彼らに残されていたのは・・・・。

相変らずのンクリント・イーストウッド映像です。
WB配給、マルパソカンパニー製作のプログラムシネマではありますが、
静かな怒り、弱い者への愛情が滲み出る秀作でした。

特に本作のキャスティングはお見事、
サム・ロックウェル、キャシー・ベイツの重鎮の起用もさることながら、
主人公ジュエルにポール・ウォータ・ハウザー、
敏腕(?)女性記者にオリヴィア・ワイルド、
嫌味なFBI捜査官にジョン・ハムといった
腕の立つ俳優を配し物語に重厚感を担保していました。
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