サイレント・トーキョー (2020)

文字数 720文字

【歴史的群衆シーンになるか?】2020/12/4



波多野監督 本編4作はすべて見させていただいていた、
手堅い職人的作風かと推察していた。

いつもの様、事前情報は監督とメインキャストのみチェックして、
2020年シネマ不況のなか 残り少ない機会を大切にしたいと念じた。

原作は知らなかったが、ストーリー展開からもベーシックなミステリー作法なのだろうと思う、
かようにシネマも、軽い変化球を投げつけながら事件の奥にある人間の暗い心と大儀を描き始めていた。
こんな展開は実は好きだ、
そこにシネマにしかない大映像がかぶさってくると、もうそれだけでも楽しくなってしまう。

圧巻の映像は、渋谷駅前の群衆シーン。
爆破予告のある時間にその渋谷に集まってくる群衆、それを規制する警官、犯人を追う刑事、
ことあるごと、行事の度によく目にする渋谷スクランブル光景だが、
爆破予告すらイベントにしてしまう大衆。
そしてこの日はクリスマス、爆破予告も機動隊も
祭りの出し物になってしまう・・・そして悲劇が。

爆破予告、犯行声明と要求、警告、実行のシークエンスの間に挟み込まれる捜査活動と犯人像、
全く類型的な爆破事件シネマの流れになっている、
でも、
僕の感性はこの群衆の重なり合うカオスを何故か冷ややかに見つめていた。

誰もマスクを着けていない!
感染対策をしての撮影だったのかな?
撮影は2019年だったのかな?
それともVFXなんだろうか?

2020年、シネマを観る機会が大きく減ってきた。
待機している大作も、このまま消え去る恐れすらある。
すべては パンデミック。

もしかして、
本シネマは「新型コロナ前」という大きな勲章をもらえるかもしれない。
それほどに、観ていて感性がざわつくような群衆シーンだった。
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