ノーカントリー (2007)

文字数 904文字

【NO COUNTRY FOR ALL】 2008/3/16



ハビエル・バルデム怪演、必見のこと。
いまさらのアカデミー賞受賞だけれど、これからもっと彼の作品が観られる可能性に期待して、
「めでたし」なのだ。
でもちょっと待ってよ、
ハビエルはこの作品で助演だったわけがない、質量ともに主演だった・・・と思うけどな。
最後まで彼の存在がスリリングだった。

正確なタイトルは 「No Country for old men 」
・・・「年寄りはつらいね」ぐらいのニュアンスなのだろうかな?
そう考えると、老シェリフ、エドが主役とも考えられなくもないし、
彼もかなりコンセプチュアルなせりふで物語をまとめたりもしている。
「最近敬語が使われなくなった」、
「金と麻薬が優先される」、
「早く引退したい」、
などなど異常な暴力を背景にした犯罪になど到底太刀打ちできそうもない老シェリフの憂鬱、
彼が主役といえなくもない。

そんなことは些細なこと。
物語の時代は1980年、
非合法麻薬取引トラブルに関わっていくベトナム帰還兵の異常さも一方のスリラー要因。
このベトナム帰り兵モスの銃器、戦闘能力はマニアックなまでにそ
の詳細が明らかに説明される。
方やモスを追いかける殺し屋シガー彼の冷酷な殺人は論理的解釈が忍び込む余地すらない、
そして説明不足の不親切。
ひとつあるのは、自分だけが信じているらしいルール、コイントス。
相手の意向など無視する勝手な賭けコイントス、
こんな殺し屋にめぐり合ったら身の不運を嘆くほかない。
その狂った論理の派生物が「約束」と「プライド」。

自分の思い込んだ約束のために殺人を繰り返すシガーの瞳は確かに狂っているが、
約束を反故にして平気な数多くの人間の瞳はいかに品位を隠し遂せるのか?
プライドのためには仲間、雇用主まで殺戮する異常な熱さ、
見方を変えれば信念をつらぬく人間の少ないことはなはだしい現代?

物語の1980年から28年が経過している今に至って、
反省すらない人々、いや増しての混乱。

理解できないないことには手をつけない、回避する、関わらない老人。
目の前の快楽、利益のために破滅の道を選択する若者。
No Country For All

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