アイアムアヒーロー (2015)

文字数 576文字

【クール 大泉洋】 2016/4/24



ネタばれにもならない本格的なZシネマだ。
だから、どんなに非日常ファンタジーを積み重ねてみても、
つまるところは恐怖と残虐の連続だった。
トム・クルーズがヒーローになろうと、
ウィル・スミスがワクチンを発明しようとも、
はっきり言って Zシネマは「際物」シネマ。
そう言えば、ウィル・スミスは
「アイ アム ア レジェンド」って、呼ばれていたっけ。

でも、本作は何となく様子が違う。
そこには、日本らしい小ぶりな虐殺スケールながらも、
精一杯に人を守るため闘う普通の男がいた。
ダメな男が土壇場で男気を発揮するのはお約束ではあるが、
やはり演じ方によって味が出てくる。

Zたちの攻撃パターンが、勤勉な日本人らしく職業を連想させるのが哀しいユーモアだが、
やはりZはZの世界規範に従事している。
可愛そうな犠牲者とけなげな美女の登場も、これまた変哲無いシナリオだった。

恋人に追い出され、仕事に干され、「メガネ」とあだ名され、
いつも謝ってばかりいる男が銃を手にする。
銃を持つことで人格が変わるというのではなく、
あくまでも仲間を守るために勇気を出してZを破壊する。
屍の中に立ち尽くすメガネの姿が輝いていた。

大泉洋さんは主人公の大いなるギャップを慎重に、
少しコミカルに、しかし立派に演じ切っていた。
海外での受賞は、きっと彼の存在が大きかったことだろう。

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