教授のおかしな妄想殺人 (2015)

文字数 430文字

【ウディ・アレンの「殺人は実存、癖になる」】 2016/6/15



それにしても、この邦題は迷訳、珍訳、悪訳だ。
「おかしな」ことはどこにもない。
妄想でもない。

より善き世界を実現しようと活動してきた哲学教授の挫折、厭世気分を
一気に晴らしてくれるものは「殺人」。
そして、殺人は癖になる。
世間からは不可解とされるシリアルキラーの誕生なのだろう。

お腹ポッコリのホアキン・フェニックスがサイコキラーをカッコ悪く演じてくれる。
対照的なおバカ系女子大生を、「マジック・イン・ムーンライト」に引き続き
ウディのお気に入りなのだろうエマ・ストーンが演じる。

実存主義と厭世感漂う教授に、他愛なく惹かれていく学生。
同僚や学生からの誘惑には一切興味をひかず人間関係を断ち切る教授。

これはまずもってコメディではなく、深刻な人間喪失の悲劇だ。
それを断ち切り、生きる喜びを感じる殺人衝動。
淡々と進展する殺人計画。

そんな世界もある、もしかして楽しいかもしれない
・・・・とウディ・アレンが呟いていた。

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