探偵マーロウ (2022)

文字数 933文字

【なんてたって 100作記念】 2023/6/16


ついこのあいだ実年齢(70歳)にふさわしい認知症の殺し屋を演じた レーアム・ニーソンだけど、今作ではフィリップ・マーローを演じるという。
なぜ小説の世界では30~40歳のマーロウを演じるのか?
これには訳があり、それを知ってぼくは公開初日に駆けつけることになった。

本シネマはニーソンにとって第100作目、記念としてマーロウの役を選んだとのこと。俳優としてどうしても演じてみたかった人物だったのだと想像するに難くはない。 マーロウはハードボイルドの代名詞であり、その生き方、放つ名言すべてが僕ら世代の憧れの存在だったから。
もっとも 近年の多様化絶賛の世相において「男らしい」というキーワードはもはや死語になっているとは思うけれど。

マーロウが活躍したのは1940年前後の7作の小説のなかであるが、本シネマは公認作家(チャンドラーではない)による最近作をベースにしている、時は1939年ナチが政権を取りアメリカが参戦する直前のハリウッドが舞台になっている。

マーロウが美しい女性(ダイアン・クルーガー)から行方不明の愛人を探す依頼を受ける・・・「長いお別れ」の続編なのだそうな。
続々と怪しげな男女が登場してはマーロウのゆく手を阻む経過も「長いお別れ」同様、しかし混乱する調査を助けてくれるのが元同僚の警官たち。
う~ん、何か雰囲気が違う、孤高のマーロウではない。
「96時間」のスーパーダディを彷彿させるような銃撃戦での解決にもびっくり、マーロウの渋みがない。

気になって仕方がなかったニーソン・マーロウ最大の難関である高齢対策、涙ぐましい仕掛けがみられた。 依頼人の母親としてジェシカ・ラング(実年74歳)が重要な役目を果たしている・・・ニーソンよりも年上の名優という目くらましとして。
依頼人美女(クルーガー)からの夜のお誘いを「君の歳の倍だからダンスにしよう」と正直に断るシーンもちょっと痛々しい。

製作国がアイルランド・スペイン・フランスになっていることが本作の肝だろう、本家アメリカン・ハードボイルドの代わりにそこに あったのは レーアム・ニーソン・ハードボイルドだった。

だって、100作記念なんだから。
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