マイウェイ 12,000キロの真実 (2011)

文字数 1,273文字

【ぶれることない友情物語、いつか許しあえる】 2012/1/14



本シネマ、オダジョーさんが一枚看板だし、
戦争シネママニアとしては到底無視できるものでもなし。
たとえ苦手の韓国シネマといってもだが・・・。

戦闘シーンが得意の監督だけあって
ハリウッドシネマに引けをとらない迫力の戦争シネマだった、
・・・と、とりあえず肯定的な印象があったことを否定する気もなし。

しかしこのシネマは日韓二人のアスリートの友情が
ぶれなく最後まで描かれている点において優れている。
それはそれは気持ちのよい徹底振りで、ファーストシーンからエンディングにいたるまで
終始合理的につながっている。
本来憎みあう侵略者と非制圧者の立場を対等にしていくスポーツマンシップ。
政治、経済そして軍事的な軋轢をも超えていく肉体の原始的戦い、
僕の好きなマラソンが褒められたようで気持ちがよかった。

しかしながら、このアスリートの歓びを素直に表現したのは韓国側(チャン・ドンゴン)で、
日本側(オダジュー)ではない。
僕は素直に韓国という国の懐の深さに痛感してしまう。
なるほど日本を代表するS社、P社が世界戦略で韓国企業に遅れを取っているのが
うっすらとわかったような気もする。
まぁ、それはここでは関係のないお話ではあるが。

話を戻して、
血も涙もない侵略者日本、その象徴でもある憎き日本人アスリートに、
同じアスリートとして敬意を持ちその命を守ろうとする韓国人アスリート。
祖父を韓国人に暗殺された恨みがあるとはいえ、
神国日本、天皇、大日本帝国を妄信する日本人アスリート。
この日本人アスリートも最後には「いのちの大切さ」に気づくことにはなるが、こ
の勝負は韓国の勝ちになる。

敵を許して、真の友情に目覚めさせる・・・・・繰り返すがやはり韓国の懐の深さだろう。
これで、しかしながら、
韓国のシネマ観客は納得するのだろうかと逆に僕は心配しているくらいだ。

ラスト戦闘シーンで二人が走る、明日を賭けて走る、
この場面は日韓が手を携える象徴、なかなかの感動シーンだった。
その後に続くいくぶん韓国シネマ独特の執拗なシーン、
しかし友情の総仕上げにも胸詰まるものがあった。

ところで、喧伝されているし「ブラザーフッド」の再現と
期待していた強烈な戦闘シーンはどうだったかというと、
ある意味で世界レベルだった。

つまりいくぶん揶揄をこめて近年の名戦闘シーンの再現ということである。
ノモンハン戦闘には「フルメタルジャケット」のエッセンスが、
ソビエト赤軍対ドイツ軍の市街戦はそっくり「スターリングラード」が、
ノルマンディ戦闘は「プライベートライアン」の裏側版が再現されていた。
良くぞここまでコピーできるものか?
しかし、かの名作の名戦闘シーンをこれほど高レベルで再現できることに
敬服せざるを得なかったのも事実だ。
資金さえあればできるものか? では資金があれば邦画にそのパワーはあるか?

当初期待していた、戦闘シーンはそれなりの満足度、
思った以上に日韓の友情物語は上質だった。
過去の憎しみを忘れることはできないが、
許しあうことはできる、そんな熱い想いになった。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み