ランド・オブ・プレンティ (2004)

文字数 465文字

【アメリカ変節への警鐘】 2007/11/7



2001・09・11から、変わり行くアメリカ。
僕らが見聞きするのは国際ニュースの断片、
それも意識しないと、享楽の情報の中にうずもれてしまう。

ヴェンダース監督は、アメリカ変節への警鐘を的確に表明する。
そこには法律、政治などの高尚な視点は無い。
もっと言えば、
道徳や倫理もこの場合隅のほうに追いやられている。

アメリカの貧困層、底辺に生きる人たちに澱んでいく
「テロ撲滅警察国家」が、ひとりの初老の元軍人を通して、切々と描かれている。
かの地での戦争行為も大きな悲劇なら、
アメリカ国内のテロ管理、言論統制など自由抑圧は
建国思想にかかわる後戻りできない悲劇だから。

その根源も、アッサリと提示される、
貧富の差。
満ち足りた世界側に少しでも足をかけていると、この「差」には気づかない。

本シネマでは、いまだにベトナム戦争狂気にとらわれた男、
パレスチナからもどってきた宣教師の娘、
彼ら異次元の目から9月11日以後を見据えている。

アメリカの普通の人々など知らない僕には、全て新鮮な驚きだった。

けだし名作であろう。

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