DOGMAN ドッグマン (2023)

文字数 647文字

【ダークヒーロー「ドッグマン」誕生】2024/3/8



同じタイトルのイタリアシネマ「ドッグマン(2018)」は衣替えしたネオリアリスモを感じたが、
さて リュック・ベッソンの「ドッグマン」はどうだったのか?

物語の概要を説明すると、家庭内暴力の結果、家業の犬飼育檻に閉じ込められ半身不随になった主人公が、唯一愛情を共にできる犬たちと生きる姿を不条理な現代社会にメタファーしたものになっている。

障害者にはなったが大学を出て保護犬シェルターを運用するものの、 予算カットで犬たちと路頭に迷い、応募する仕事先々で断られ、最後にキャバレーで物まね歌唱を披露して糊口をしのぐ、エディット・ピアフ、マリーネ・デートリッヒ、マリリン・モンローに扮する主人公は虚構の中にこそ真の人生があると信じる夢想家でもあった。
   
そんな稼ぎでは大勢の愛する犬たちを養うことができない、次に策したのは富裕層からの強奪、それも犬たちの力に頼って。
宝石の首輪をつけたドーベルマンの目をかいくぐって、保護犬たちが豪邸から金品を盗むのを観ていて、ぼくはロビンフッドや鼠小僧を思い出してしまい拍手喝采のシークエンスだった。

最後には悲惨な結末が待っているのだけれど、権力、経済力、暴力に抗い常に愛する犬たちとともに生きた主人公、彼をおいて「ドッグマン」と称せられるにふさわしいものは他にはいないだろう。

リュック・ベッソンン版「ジョーカー」とも、新しい「レオン」ともいえるダークヒーロー「ドッグマン」がやけに眩しかった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み