ピンクパンサー (2006)

文字数 864文字

【おばかさん健在】 2007/2/8



調べたところピーター・セラーズのあたり役となったクルーゾー警部登場の《ピンクの豹》が公開されたのは1963年、僕が中学の時だった。
当時田舎の純朴な・・というかユーモアのセンスなどあるはずもない子供に何がわかったか大いなる疑問だが、それなりに笑わせてもらったのは、やはりシネマの偉大さだったろう。
フランス風味の笑いは当時も幾分ひねりがあり、この「おばかさんコメディ」のハチャメチャのなかに、しゃれたものを感じた記憶がある。

そして、今回のリメイク。
スト-リーはクルーゾーが警部になるまでの活躍(?)を描いた、いってみればクルーゾー警部ビギンズ版、例によってはずしまくりの捜査で大混乱となる。
その意味では正統的お馬鹿コメディは継承されていて大いに笑えるが、僕はやはりピータ・セラーズのほうがいい。
それはせん無いこととしても、今回クルーゾー役のスティーブ・マーティンにはあのどうしようもない「おばかさんぶり」が希薄だ。

ストーリーも最後には「刑事コロンボなの、あんたは?」ってな感じの逆転があったり、それはそれで痛快なんだけど、救い難い勘違い初代クルーゾーがちょっぴり懐かしかった。

ところで、この手のコメディの楽しみは意外な俳優たちが(推察だけど)自分の楽しみで出演していることだ。
今作にもジャン・レノがボケ役でがんばってる。
最近お目にかかった《トランスポーター》主演のジェイソン・ステイサムも冒頭の殺しのシーンであっという間に殺されるだけ。ビヨンセもそのまんまの歌手役。
過去のクルーゾーシリーズでも因縁の深い《007ジェイムスボンド》のパロディシーンでは、なんと次期007候補といわれた(結局落選したが)、クライブ・オーウェンが006役で出演して、クルーゾーに「上を目指してがんばれ」なんて激励されている。オーウェンは間違いなく楽しみで出演してるとしか思えない。

そんな視点で観ることができるのは、何を隠そう僕が年を重ねたからでもある。
今の自分でも十分楽しめるおお洒落なそしてお馬鹿なシネマではあった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み