遺灰は語る (2022)

文字数 540文字

【感じる、人生への愛おしさ】 2023/8/29



ノーベル文学賞作家ルイジ・ピアンデルロの遺言にしたって、第二次 大戦直後、遺灰を故郷シチリアに運ぶ市職員のご苦労の数々、ノスタルジックなモノクロ映像が古き良きネオリアリスモの世界を再現してくれる。

ピアンデルロのことは識らなかった、91歳になるパオロ・タヴィアーニ監督も詳しくは
知らなかったけれど、ぼくの知っている懐かしいイタリアシネマに久しぶりに巡り合えただけで幸せになった。
本編のロードムーヴィの細やかな手練手管もさることながら、特典としてピアンデルロ遺作となった短編が映像化され豪華付録になっている、こちらの方が本当はメインではなかったかと思えるインパクトがあり、「一粒で二度おいしい」想いをさせてもらった。
文字通りの短編シネマだが主人公の少年のはかり知ることのできない感情が毒々しいまでのカラー映像で再現されると、本編とはうって変わった不条理が浮き彫りにされる、本編・特典どちらもピアンデルロへの深い敬愛が感じられた。

前述のとおり、91歳の現役監督にとってシネマ愛に年齢は関係ないことを証明し、しかも人生への愛おしさもきちんと示してくれる。佳き高齢者の技に酔った。
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