提督の戦艦 (2008)

文字数 680文字

【提督 愛のシベリア鉄道】 2010/9/19



日本語として意味を成さない《提督の戦艦》、
原題は【アドミラル(提督)】。
ロシア史の中では【提督】で十分通じるものなんだろう。
実は僕の教養部屋には本作主人公提督、アレクサンドル・コルチャークは一度も入っていなかった。
彼がロシア帝政を倒したボルシェビキ(赤ロシア)の相手側、いわゆる白ロシアの頭目だったなんて知らなかった。
そして本作では有能な指揮官として、また祖国愛国者として描かれている。
ソビエト解体後20年近くになった今ようやく冷静な歴史視点に基づいたシネマが創られた。
・・・・と能書きをたれてしまうと、いかにもお堅いつまらなそうなシネマに勘違いされるようで困る。

提督の人間性が興味深い:
■この提督、有能な軍人だからお忙しいはずなのに、女性にほれやすい、女性にマメだ
■いわゆるブルジョア階級、スノッブさは隠しようがない
■当然ながら労働者階級の窮状など知りようも無い、いい意味悪い意味で無垢
■このタイプはカリスマになる素養を備えている

戦闘シーンが秀逸
■第一次大戦、フィンランド沖の死闘はかってないクオリティだ
■暴力革命を標榜するボルシェビキの実態を垣間見る
■ロシア人同士の白兵戦は哀れ

強いロシア女性
■自我を意識し主張する提督の愛人
■抑制できない嫉妬に苦しむ提督の妻
■そんな強い女性の狭間でゆれ続ける提督男心の本音

いやはや盛りだくさんのお楽しみがあった。
歴史に近づく、女性の強さに感服する、軍人の強さと内なるひ弱さ。

老婆心:
それにしてもタイトル《提督の戦艦》はひどい。
僕が命名するなら 【提督 愛のシベリア鉄道】かな?
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