幸せをつかむ歌 (2015)

文字数 784文字

【ロッカーは永遠なれ】 2016/3/6



近頃の翻訳タイトルには不可解の傾向があるが、
今作は呆れるばかりで腹も立つくらい。
シアワセヲツカムウタ・・・とは一体何ぞや?

メリルが演じるのはロックバンド”ザ・フラッシュ”のボーカル リッキー。
このバンドでリッキーはリック・スプリングフィールド演じるギタリストと
愛人関係になっているがお二人ともに高齢者、
あとのメンバーもいい勝負の年期ロッカーズたち。
けど、ロッカーに歳なんかは関係ない。
熱い情熱とイカシタ音楽への想いがあればそれで十分だ。

というわけで、原題は「リッキーとザ・フラッシュ」という売れない年寄バンドなんだが、
それじゃちっともシネマファンの心根を揺すぶらない。
そこで詰め込んだコンテンツが「家族」。

リッキーがロックバンドを選んだ代わりに捨て去った家族(子供3人と夫)に
何十年ぶりに会って湧き起るトラブルがそれだ。
娘(本当の娘 メイミー・ガマー)は結婚直後に男に逃げられ狂乱している。
長男は結婚を控えているが、このロッカー母親には内緒にしている。
次男はゲイ、夫は黒人のしっかり者美女と再婚している。
この家族、いわば現代アメリカのステレオタイプ、
金太郎飴の断面のように、どこの家族にもある問題だ。

一方のロックバンド「ザ・フラッシュ」はライブバー専属、固定客の人気は高いが、
ミュージシャンとしてだけでは食べていけないのでリッキーは、スーパーマーケットで稼ぐ。
もしかして、ザ・フラッシュに代表されるアーティストもまたアメリカの金太郎飴なのか?

歌うアホウに聴くアホウとは言いながら、
僕はメリルの迫力ある澄んだ歌声に魅了される。
実はエンディングシーンでオリジナルタイトルの意味がわかる。
つまるところ、
メリルの音楽才能をフィーチャーしたミュージックスペシャルシネマになっている。
だ・か・ら、
「幸せ・・・」ってつければいいもんじゃない。

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