妻よ薔薇のように 家族はつらいよ III (2018) 

文字数 777文字

【やっとお目覚め!】 2018/5/28



あきらめずに三作目まで我慢して観続けてきてよかった。
第二作にしてようやく「東京家族」の呪縛を断ち切ったかの印象だったが、
お笑いの線量は低いまま、関西芸人のピン芸に良いとこをもっていかれる始末だった。

三作目にしてようやく修正の手が入ったようだ。
世の中すべてはPDCAサイクル、
巨匠山田洋次作品といえども検証・修正は必須だった。
タイトルからして変化していた。
シリーズ二作目「家族はつらいよ 2」に対して
本作は「家族はつらいよIII」の前に
「妻よ薔薇のように」という近頃はやりの長めになっている。
実際の映像には英語版タイトルも・・・What a wonderful family , My wife My life.
その通り、モダンなテイストに修正されていた。
歌舞伎や文楽のような古めかしさが少し薄くされ、
少なくとも平成の喜劇だと思えるまでになっていた。

物語は平田ファミリーに限定した家族のトラブルをコミカルに描くという点では
変わっていない。
出演者も三作目となると馴染みになってしまう一方、シリーズならではの加齢・成長が面白い。
また今作では、瀬戸内海の島と佐久にちょとだけ出かけたりして気分展開が施されている、
それだけでも、家族という枠の物語にダイナミズムが生じていた。
本シリーズの裏ルールとでもいうような、小林稔侍さんの怪演出番が少なかったことは
すなわち橋爪さんのエピソード減少ということ。
その代わり今作では長男夫婦のトラブルにフォーカスされている分、
高齢者ジョークに傾くことがなく、
僕としてはわが身につまされることも少なかったことはご同慶の至りだった。

この長男夫婦の顛末が世の男性にどれほど反省を促すことができるのか?
山田監督からの挑戦メッセージだと受け取った。
コミカルというよりもタフでシビア、そして涙にくれた。
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