インファナル・アフェア (2002)

文字数 781文字

【香港シネマの達人推薦でした】 2008/4/12



《ラスト、コーション》に失望した話をしたら、
香港シネマの達人から《インファナル・アフェア》を強く推薦された。

ずっと前から香港シネマと自分の感性は合わないものと思っていた。
《ラスト・・・》だけは日本をどう扱っているのかという興味に負けて覗いたものの、
別の意味で肩透かしを食らい、やっぱり水が合わないんだと諦めた。

大変失礼をしてきたみたいだ。
香港シネマというだけで、加えて、本シネマの賞賛を聞けば聞くほどに頑なに拒否していたこの年月を、また、《ディパーテッド》を見ながら、オリジナルを確認しなかった間抜けさを今は悔やむ。

原語タイトル「無間道」の意味を知り、新たな悔いと反省が湧き上がる。
ここにいたり,《ディパーテッド》と本作の決定的違いが理解できた気がした。
善人になると決心したものの、悪の領域の人間には残念ながらもはや無間世界しかゆるされない。
ラストシーン、敬礼と同時に眼をつむる主人公、永遠の無間地獄に苛まれるのだ。
でも、これこそが人間が生きていく象徴でもある、
僕らは生かされていくのだから。

先にハリウッドリメイクを見た立場からすれば、このアジア的テーマに触れたとき、
《ディパーテッド》の根本に関わる脆弱さが、パッと大きく眼の前に開ける。
この物語は、どうアレンジしてもアメリカ人には、そしてヨーロッパの合理思考には溶け込めなかったのだろうと。
すくなくとも僕は、この主人公たちが背負っている「業」、その重さを想い浮かべることができる。
だから、
人間は悲しくて、滑稽で、愛すべきで、赦されるのかもしれないと思うことができる。

今、リメイクシネマがまったく異なる思想のもとに創られたものだと知り得た。
当然のように、僕はこの「イナファナル・アフェア」に数倍もの価値を捧げたい、
どう説明しようとも、僕は仏教徒のアジア人だから。
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