金田一耕助の冒険 (1979)

文字数 790文字

【巨匠達のパロディ】 1979/10/21



なんと、これも角川春樹事務所制作なのだ。
もっとも、金田一ものは角川以外誰も手を出さないか?
本シネマ、「よくぞここまで よくやった!」の声をかけたくなるほど、金田一のパロディがぎっしり詰まっている。
今まで金田一シリーズでさんざん儲けておいて、それに飽き足らず手がけたシネマすべてをパロっちゃうなんて、角川氏もかなり翔んでる方に違いないし、商売人だね(知ってたけど)。

想像してた金田一シリーズのコメディ版どころか、いたるところ基準のない無節操なパロディが仕掛けられ確かに今までお目にかかったことのない新鮮な企画ではある。
日本では珍しいスタイルだから、最初は面食らったりペースがつかめなかったが、パロディとそのスピリットを中心に楽しむことにすぐに慣れてくる。
当初、何もわざわざ本編にすることもないという疑問もあったが、これも豪華ゲストスターを目の当たりにすると、なるほど、彼らの為だけにでもここは本編でなければ・・・と納得してしまう。
三船敏郎、三橋達也、岡田茉莉子、東千代之介(すべて本物だ)が実にくだらないギャグやパロディだけのために出演しているのは確かにありがたい。
でも考えてみれば畏れ多いことでもある。本編でよかった。

日本でこの手のおかしなシネマを最初に撮った大林監督。
ジーン・ワイルダー、メル・ブルックスに並んだかな?

ところで、
パロディの原則は、もとになる本物が存在することだとすれば、観客全員がすべてのパロディ、ギャグに共鳴できたかどうかは極めてあやしい。
パロディの宿命ともいえるこの矛盾に対して大林監督は、ユーモアのレベルを数ランク下げることで対処している、宜なるかな。

付録:
角川春樹本人もじつにうれしそうに画面に登場するが、
極め付きは横溝正史氏、いわく・・「ワシはこの映画にだけは出たくなかった・・」いやはや、これにはもう参った。

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