マダム・マロリーと魔法のスパイス (2014) 

文字数 727文字

【ハートウォーミング料理アクション】 2014/11/2



ハートウォーミング料理アクションシネマだった。
ちなみに 日本語タイトルはミスリードすら懸念される改悪だと心配した。
原題に含まれる食文化の軋轢と融合が消し飛んでいるから。
インド料理伝統を継承する一家の天真爛漫と、
たまたま移住した目の前にある名門フレンチレストランの女性オーナーの執念との衝突が、
見所になっている。

そこにはヨーロッパの喫緊の問題になっている移民問題、それに付随する人種差別問題、
シネマのメインになっている食本来の価値観がぎっしりと詰め込まれている。
ラッセ・ハルストレム監督久々のクリーンヒットだ。
そう、本来ならハルストレムのネームバリューでプロモートしたいところなのだろうが、
現実的にはフレンチレストランオーナー、マダム・マロリーを演じたヘレン・ミレンの名声に頼らざるを得なかったのかな?
近年のハルストレム作品ではそれも仕方がなかったろう。

繰り返しになるが、インドの天才コック(シェフではない)を取り巻く、
インド人家族の面々(特に父親)の描き方、
敵対する、マダム・マロリーのスタッフたち、
なかでもインド人天才コックと恋に陥る女性シェフとの細やかな触れ合い、
また、両レストランの戦いの中で、調停役として引っ張り出される市長夫妻の扱いなどなど、
軽いテーマとはいえハルストレム節を堪能した。

料理は、生命を犠牲にして味わうものだから、そこには食物の霊魂がこもっている、
料理は自然体で想いを込めて作るもの、
ヌーベル・キュイジーンを突き詰めたその先に見える料理の本質とは・・・・?
フランスが舞台らしく、ミシェランの星取サスペンスも楽しい余興になっている。

全編これ料理の香りが一杯の秀作だった、満腹。

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