グリーン・ゾーン (2010)

文字数 587文字

【せいぜい戦争を楽しむ】 2010/5/30



印象的なセリフだった。
「せいぜい戦争を楽しむんだな」

デルタフォース(らしき)指揮官が
主人公の大量破壊兵器(WMD)探索チーフに言い放った捨て台詞だ。
世界の警察を自認するアメリカが発する大きな勘違いの言葉だ、
でも誰も修正できないのも現実だ。

イラク侵略の大義名分が捏造されたことはもはや世界の常識。
しかし、
ブッシュを担ぐネオコン一派の犯したこの謬見が糾弾されたという話題も
いまだ聞いた覚えもない。
そして今またぞろ、イラン、アフガニスタン、北朝鮮で警察活動に陶酔しているかの国。

主人公も逆説的ではあるけど結果としてこの世界警察権力を堪能する。
彼はアメリカの正義(?)のゆく道を正そうとする。
天真爛漫に政府を告発し、蹂躙したイラクにあまたの遺体をのこして後にする。
恐らくは新たなる戦場で、新たな無邪気なアメリカ兵士が同じ思いに心悩ますことだろう。
だから、「せいぜい戦争を楽しむ」事くらいしか兵士には喜びはないのだろうか?

21世紀は「戦争の世紀」と称せられた前世紀を克服しなければいけない。
覇権を維持する国家がその義務を有せざるを得ないのだろう。
アメリカの苦悩は当分終息しそうにもない。

本シネマ、スピード、アクションは有り余るほど。
サスペンス構成も破綻せず、マット・デイモンも相変わらず上手い。

僕も「シネマとしての戦争」をせいぜい楽しんだ。

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