億男 (2018) 

文字数 752文字

【生きたお金の使い方】 2018/11/15



いろんな事情で観るのをためらっていた。
今頃になって観てみようと思い、
結局そうしてよかった、良いシネマだった。
なんだ 大友組にもこんなにコンパクトで心がぽっと暖かくなるシネマが紡げるのだった。

僕の心に巣食っていた疑念のようなものは「るろうに剣心 (2012~2114年)」三部作だ。
いまだに このシリーズの超荒唐無稽な映像・物語を悪夢のように思い出すことができる。
まぁ、三部とも拝見した僕にもその責任はあるのだが、
シリーズから途中で降りるのも潔しとしない性格なので傷は深かった。

そして本作にも監督と佐藤・藤原 両男優が大友組(?)で蘇っている。
この三人の化学反応があまり芳しくないのかもしれない…と懸念し、躊躇した。
それに輪をかけたのが《予告編》。
予告編のエッセンスは「お金に狂った人たち」をエキセントリックに編集していた。
そんな狂乱をいまさら見たいとも、参考になるとも思えなかった、
もう僕は人生のラストステージにいるのだから。

ところがこのシネマは「お金」に狂う若者の悲劇ではなく、
お金の本質に気づいていく若者たちの友情物語だった。
そう、高橋一生さんの触媒によって大友シネマが格段の昇華を成し遂げていた。
「お金」で周りをなぎ倒していく人もいれば、
「お金」の魔力でより一層お金の魔力に引きずられる人もいれば、
「お金」を信頼できず嫌悪するだけの人もいる。

本シネマでの佐藤・高橋がたどり着いた「お金」の位置づけが僕にはとても興味深かった。
お金は無いと大変だけど 無くても幸せになれること、
お金の生きた使い方を知ることが簡単なようで大変なこと、
なによりも お金のことをじっくり考えてみることが大事なことを確認した。

モロッコでの砂漠寄席が美しい、心が洗われるようだった。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み