フラガール (2006)

文字数 869文字

【これで満足。】 2007/5/14



「わたし、SKDではエイト・ピーチズの一人だったの・・・
 でも、そんなこと知るわけないよね?」 
フラダンスの先生(松雪泰子)が教え子(蒼井優)の兄で炭鉱夫(豊川悦司)相手に
自問するときの言葉。
僕は思わず、
「いや~、知ってるよ。 すごいじゃん」と叫んでいたっけ。

さほどに、《フラガール》の世界にどっぷりとはまり込んで、楽しませてもらった。
負け惜しみでなく(ちょっち悔しいのは事実だが)、大きな声を出して笑ったり、
登場人物に話しかけたり、手足バタバタさせて面白さを体で表現できたのも、
劇場で見逃したおかげ、DVD鑑賞になったおかげだと思った。
カジュアルな雰囲気が良く似合う、愛すべき小品だ。

そこには、とても上手に、面白さの種が仕掛けられている。
面白さの筆頭は、なんと言ってもアマチュアがプロに変身していく過程の、
トラブルとサクセス。
結末がハッピーサクセスとわかっているだけに、仕掛けは巧妙だった。
仕掛け一番はダンスの先生、思い切り僕の予想を裏切る行動に出てくれて驚かせてくれた。
■(前述の)エイトピーチズだったんだ!
■男風呂に乱入して、オッサンに組み付く・・!
■「プロは父の死に目に会えない・・・といいたいところ、今日は中止。帰るぞ」と宣言する!
■町を去ろうと決心した列車の中、教え子の説得(これもユニークな仕掛けだが)で
「じゃ、戻るか・・」!

ありきたりのサクセスストーリーにしたくない製作者一同の熱が感じられて好感が持てた。
俳優さんたちも、得意技一本に秀でた方々が、さらに絞り込んだ渾身の演技、
この渾身のごった煮を闇鍋にすることなく収拾した監督の力量にも感服した。

ところで、
昭和40年代、常磐ハワイアンセンターは僕の憧れだった。
当時田舎の中学生にとって「ハワイ」なんて、天国の楽園のごとく遠い夢のまた夢。
子供心に、ハワイは無理でもこのハワイアンセンターにはいつか行ってやろう・・・
と思ってた、いやほんとに。

時が流れ、いまだにこの決意は実現していないまま、
もっと夢の多い世界を観させてもらった。
これで満足。

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