大名倒産 (2023)

文字数 639文字

【浅田リベラル劇場真っ盛り】 2023/6/23


浅田次郎原作、前田哲監督、神木隆之介主演・・・・とぼくの好物がズラッと並んだ。
それも大好物の浅田時代劇とのことでいやが応にもテンションが高まって拝見した。
大好物の時代小説と言ったが、どういうわけか本原作は未読なので「ダブルいやが応にも」期待が膨らんだ。

浅田時代物はシリアス系統が多いが本作はコメディを超えたスラップスティックに仕上がっている、同じ系統の「憑神」の展開と同じく、最後にはピシャリと数多の問題が整合されるという見事な出来上がりだった。
問題とは・・・・
財政危機に陥った譜代藩が計画倒産を仕組む。
その裏には権力、金融の大物が蠢く。
貧しくとも働く喜びのあった街が政で疲弊していく。
無欲の若者が再建に立ち上がり、旧弊システムが覚醒し巻き込まれ息を吹き返す。
・・・・浅田次郎リベラル劇場真っ盛りだった。

シネマはカリカチュアされた侍たち、町人、町並みがまるでミュージカル舞台のように回転していく。 主演をサポートする俳優も豪華だった、宮崎あおい、小日向文世、浅野忠信、石橋蓮司、松山ケンイチ、杉咲花、キムラ緑子、 梶原善、そして佐藤浩市。

江戸末期の徳川政権の行き詰まりを象徴するアイロニカル物語りだが、これらはすべて現在僕が生きる世界の矛盾点でもある。

繰り返しになるが、浅田ワールドがしっかりと再現されている。
今年いま迄観たシネマの中で、シンプルに楽しめるという点ではベストだった。
お見逃しの無いように。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み