新宿スワンII (2017)

文字数 608文字

【疑似裏社会顕在化】 2017/1/25



第一作では、ヤクザ社会の疑似とはいいながら健全な新宿の夜を守るスカウトたちの存在感がまだ残っていた。
スワン白鳥龍彦を演じた綾野さんの底抜けピュアな役作りに感心しきりだった。

しかし、続編では裏社会ヤクザが表に出てくる。
スカウトなんて無力なもの・・・という今さらながらの本音が、今シネマゲストの浅野忠信演じる横浜スカウト社長から呟かれる。
そう、この浅野さんの迫力は他の演者を圧倒し、主人公白鳥も翳む流れになってしまう。
ゲストスターの実力といったところだろうか。

物語は新宿のスカウトが横浜のテリトリーに進出するための生じた軋轢と、そこにからむ男の友情話で構成される。縄張り争い、義理と人情のヤクザシネマの定番になっている。
今シリーズが世間から遠ざけられていたモチーフにあえて挑戦しているのは、顧客にそれを待望する素地があるからだ。
この種の男の世界は日本人の好むところだろう、少なくとも古い世代にとっては懐かしい代物だ。

もっとも、本筋のスカウトたちが扱うのは「女の世界」、今回も美形が大勢登場する。
美女たちのパワーがシネマの核になっているのも現代的だ。

男の世界と、強い女たち、興味深いテーマではある。
麻薬と殺人と警官汚職にまで拡張したスカウト物語、さてどこまで疑似裏社会に突っ込んでいけるものか。

老婆心:
スカウト競争で生じるお約束の暴力シークエンス、もう少し締まりよくならないものか。
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