ブラインドネス (2008)

文字数 523文字

【皮肉が眼にしみた】 2008/11/23



強烈で辛辣な皮肉に苦笑いした。
皮肉とクリティシズムが満載されている。
このパターンが監督の得意なところなんだろうかな?

ある日突然皆が(この皆の範囲が曖昧なのがすこぶるグッド)、
盲目になるには論理的整合性なんていらない。
ある朝ムカデになってしまうほどの難解さはないはずだから。
原作は未読だがシネマとしては分かり易い。

僕らはその己が眼でしっかりと真実を見ているのか?
・・・と問われる。
政治は無力、宗教も非力、
人間の欲望は「クイモノ、カネ、セックス」、
暴力に平伏する無気力。
ブラインドという非日常に置かれても人はその本質を変えることはない。

主人公(ジュリアン・ムーア好演)に率いられたグループが体験する迫害は
神からの試練のごとし。
そして主人公はまさに神の預言者。
ひとりしっかりと眼を開いて
人間の狂態を眺め続ける。
決してヒロインになることもなく
ただただ人間たちの愚かさを見つめ続ける。

ラストで暗示されるのは「希望」、
「希望」こそは生きとし生きるものに大切だということ。

老婆心:
メッセージは理解したが、前半部分がちと長く執拗気味、
それでも、
寓話を完成させるにはこのくらいの「引っ張り」があってもいいのかとも同情する。

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