ゆれる (2006)

文字数 839文字

【監督に熱く感謝します】 2007/3/22



あらゆる方面から絶賛されている作品との評判をお聞きしながら・・・。
DVDでようやくご対面するにあたり、高揚する期待感を鎮めるのに
一杯のブランデーが必要だったほどでした。
シネマらしい、シネマでなければ表現できない贅沢がたくさん詰まってましたね。
どちらかというと正統的、悪い意味ではなくオールドファッションスタイルでしたから、
僕なんかには心平穏に、心いくまで鑑賞させていただきました。

ストーリー(脚本)が随分練られていたと、お見受けしました。
題名のとおり「ゆれる事実」を、最後までミステリーの霧中に秘めてしまおうという
創り手の情熱にすっかり乗せられ、当然のように堪能させていただきました。
途中にちりばめられたさりげないシーン、カット(白き花びらの類)は、
観る側の好奇心を充分に刺激してくれたものです。
観客への知的接待とでも申しましょうか、うれしいものです。

映像のコントラストも、非の打ち所のない職人技のようにおもえました。
明と暗、赤と緑、とても魅せられてしまいました。
屋内の光技にはに東西の名画を見るがごとくでした。
無頓着を装った編集こそシネマの原点を思い起こさせてくれると信じる僕にとって
そのお手本をこのシネマに見ました。

余韻、行間を感じる・・・・という言葉を思い出します。
そして、一気に役者さんの演技で勝負をかける長い回しのシーン。
このキャスティング(香川、オダギリ、伊武)の狙いどころだったのでしょうね。
上手い俳優さんには見せ場を作る配慮、
いちシネマファンとして、この三人の俳優のファンとして感謝しております。

個人的嗜好になりそうですが、衣装のこだわりにも気づいて注目していました。
妥当な衣装の一歩奥に踏み込んだ、現実感に富んだセレクション、
細かい配慮が気に入ったしだいです。

最後になりましたが、西川監督にこの熱い感謝の気持ちが届くことを念じております。
あぁ、シネマらしい、
それも純日本的シネマ作法をたっぷりとごちそうになりました。

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