離ればなれになっても  (2020) 

文字数 733文字

【心を熱くする イタリアンシネマ】 2023/2/6


イタリアに戻ってムッチーノ監督がイタリアらしいシネマを撮った。

少年時代を片時も離れることなく過ごした仲良し三人組の40年後までを描いている。
シネマ定番のテーマ・構成なのだが、少年時代もオッサン時代も味のある役者さんがこのありきたりになりがちな展開を楽しませてくれ、最後にぴったりと着地するところはムッチーの監督職人技としか言いようがない。

三人の少年たちは長じて弁護士、臨時教師、フリーライターになり、それぞれなりの苦労を経験するところまでは超ありきたりだし、 ここに一人の美少女(長じては妖艶な女性)が介在するところも永遠のテーマ焼き直しだ、僕は「冒険者たち(1967)」のレティシアを思い起こしたものだが、本作はもはや古臭い恋愛倫理などに囚われることのない大らか奔放な展開になる。
三人の親友たちの間に割り込んでくる女神のような問題女性が、しかしながら本作の魅力になっている。
どの男とくっ付くのか、離れるのか、よりを戻すのか、この目まぐるしい展開の中で、男たちの成長が育まれイタリアの社会情勢すらも透けて見えてくる、脚本も兼ねたモッチーノ監督の技あり二本目だった。

原題は「最高の年」、40年をかけて三人(+女性)が心から許しあうのが年越しの集まりだった。
意味ありげなファーストシーンからループして40年を顧みる構成のラストシークエンス、観るものをちょっとだけ不安させておくのも ずるい手だったね、モッチーノ監督、技あり3本目。
登場人物がシネマの展開を紹介するカジュアルなスタイル、深刻な話をオーバーアクションで笑い飛ばすイタリア式ディヴェート、そして最後に心が熱くなる、イタリアシネマならではだった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み