俺たちフィギュアスケーター (2007) 

文字数 712文字

【いつかオリンピックで・・・】 2008/6/4



僕がたまさかフィギュア・スケートを観戦する深層には(むろんTVでだけど)、
鍛えられた若き乙女の姿に心躍らせながらも、一方では彼女たちが演技に失敗して、
氷上に砕け散る様を期待していたりする、いささか変質的な悦楽が見え隠れする。

だからこそ、武骨なるオッサンの、それも今流行りのメタボ腹を、見せつけられ、
挙句の果てには男ペアーのスーパーパフォーマンスを愛でるに陥るとは、
これいかに?
観る必要も無く、観たいものでもないシネマだった、今反省しきり。

第一印象では、安っぽいスラップスティック・コメディを装っているが、
このシネマなにやら重厚志向やら、コメディ斯くあるべきのリゴリズムすら漂っている。
どうやら、スタッフ・キャストにアメリカ・コメディ界の重鎮が
雁首そろえた副作用があったような。

大御所による革新的創作というと、
コメディに限らず、ひとたび歯車が少しでもずれてくると、
その波紋の先は拡大の一途。
本作のように表面でいくらアホ面を晒してみても、
小手先のことに終始し、コアが揺るいでくる。
そこには、シネマ全体が共有する「確信」が溶け出していた。

いや、小難しい詮索はよそう。
僕はメタボ腹は観たくない・・・
男同士のリフティングもいらない・・・
安直な男の友情も勘弁して欲しい・・・
例え、コメディだといわれようとも。

老婆心:
ひとつ閃いた。
美男美男のペアフィギュア・スケートを本気で公式のスポーツにすれば面白い。
怖いもの観たさ、キモイ物知りたさ、そして美しい物に感動したさは世の常。
もはやビジネスになりきったスポーツの極める処はもしかしてここに?
スケートリンクは尽きるとも、世に禁断の種は尽きまじ。



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