はい、泳げません (2022)

文字数 622文字

【心の傷は泳いで治す・・でいいですか?】 2022/6/10



中年男が泳ぎたいと思って水泳教室へ、
そこのトレーナーが何とか男を泳げるようにする。
男を長谷川博己、トレーナーを綾瀬はるかが演じる・・・と聞いて、果たしてシネマとしてどのように化けるのか?
数日間悩んだ末、それを見極めるのがシネマファンのお務めだと自分を納得させた、事前評価のむつかしいシネマに向き合ういつもの儀式でもある。

結論から述べると、本作と向き合っても全く化学反応が生じることがなかった、
イヒ無いまま男の水中スマイルストップモーションで物語は終わるが、僕は二時間近く笑顔なく、こわばった首筋を回すだけだった。

終わってみてわかったのは、本作は男の再生物語だったということ。
泳げないことから子供を水死せたトラウマで記憶を失った男、
事故で離婚した男、
それでも元妻とはフランクに付き合える男、
一人暮らしの堅物教授の男、
男の子のいる女性と再婚したい男、
トラウマから泳ぐことを自分に強いる男、
水中で亡き子供の亡霊を追いかける男、
どうしても事故のことが思い出せない男、
・・・・・
日常が着実に(執拗に)すすんでいくなか男の心の傷は修復されない。

ではでは、綾瀬さん演じるトレーナーはどうしてたかって?
凛々しくも優しく、男に泳ぎのテクニックを、ひいては心のケアに効果があることも教える。
綾瀬さん伝授の水中号泣はこれからの水泳教室の目玉になる。

主人公再生の肝は何だったか? そういえば何だったのかなあ。
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