カプリコン・1 (1977)

文字数 556文字

【アメリカの底力】 1978/1/5


アメリカ本国に先駆けて1977年12月公開、お正月シネマのダークホースと言われているがが本命になりそうな勢いの面白さだった。
アメリカご自慢の宇宙計画をネタに、そしてコケにした良質のPF (ポリティカル・フィクション)に何とNASAが協力しているところが、逆説的にこの国の底知れないパワーすら感じた。

一時喧伝された、NASA月面着陸はハリウッド制作だったという都市伝説を逆手にとって、火星探査に差し替えたノンストップ・シネマ、
着眼点もさることながら、プロット、ハイテンポ、クライマックスへの盛り上げなど、すべてベテラン監督の手玉に取られた満足感すらあった。
物語にはアメリカ人大好きお決まりの愛国心、理想の父親、真の自由、などなどが臆面もなく前面に張り出していて、そんな正論に反対できるわけもなく、権力に屈しない自由アメリカに最後は拍手を送ってしまう。
良心を兼ね備える軍人、事実を追い求めるジャーナリストの結束は国家陰謀も国の威信すらも見事に吹き飛ばす。

あり得ないハッピーエンドは、あり得ないことを実感しながらも、それでも自由と正義を追い求める、アメリカの実像でもあった。
エリオット・グールドはそんな理想の自由人を気負うことなくさらりと演じてくれていた。
(記:1978年1月5日)
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