グッドナイト&グッドラック (2005)

文字数 625文字

【今にシッポが生えてくる】 2007/1/9



マッカーシー旋風、赤狩りなどという歴史上のひとこまになってしまった
アメリカ版魔女狩りを、今のアメリカの危機にダブらせてよみがえらせた格調高い秀作。
全編モノクロ画面とスタンダードジャズで古き良きアメリカを印象付けている。
ただし中身は硬い。
この硬さの極みが主人公の言葉
「テレビは教育ツールであるべき。娯楽や暇つぶしの為では無意味」
と言い切ってしまうとこだ。

単純に報道の自由を守る戦いの図式ではない主人公エド・マーローの信念には虚を突かれた。
テレビの堕落の程度は計り知れず、政治までがテレビを通じて自らを貶めている
日本の現状からは到底想像のつかない高い理想が、かの国アメリカには実在していたんだ。
もっともアメリカが日本のお手本とすればアメリカの今も推して知るべしか。

本作品のヒーロー、ヒロインはCBSテレビの報道チーム。
ハリウッドにおける赤狩りはチャップリンはじめエピソードに事欠かないが、
テレビ界も同様だったようだ。
しかし、
この作品の観所である、テレビ番組でマッカーシーに反撃できたこと、
そのことが、
皮肉にもテレビの力は権力にも変質しかねないパワーであることの証になった。
いま、ジョージ・クルーニはじめ良識の映画人がこのメッセージを送ってきたのは、
もはや世界の権力になってしまったテレビへの警告なのか?

そう考えれば、テレビは教育を旨とすべし・・の意味は大きい。
テレビばっかり見ていると、今にシッポが生えてくる。


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