バベル (2006)

文字数 622文字

【とっても後味が悪い、それだけ】 2007/4/29



ブラッド・ピットとケイト・ブランシェットの夫婦が物語りの中心にはなっているが、主要なキャストがモロッコ、メキシコ、日本に散らばっている。
この登場人物たちは、「サムシング?」でリンクされている。
ここまでの展開は国際的なミステリーまたは怪奇現象サスペンスを期待させてくれる。

複数のストーリーが時間軸を前後しながらかなりのハイテンポで動き出すにいたっては、文字通り眼が離せなくなった。
というのも、短いカットとの積み重ねと、揺れをものともしない機動力ある撮影のおかげで、落ち着かせてくれないためでもある。
なかなか新鮮、悪くない。
どうやら、なにやら大きな秘密に終結すべく各地の人たちは悲劇に見舞われているらしい。
その到達地点には悲劇を癒してくれる慰めがあるのか?
それともよりいっそうの試練が待っているのか?
僕の精神はぎりぎりと追い込まれるがごとく「バベルの終幕」になだれ込んでいく。

それにしても唐突な幕引きだ。
この幕の裏側の解釈は想像(説明を拒否されたものだから)できないこともない。
その想像も、もしかして陳腐すぎるものかと心配さえしてしまう。
いや馬鹿な・・・観客がそんな心配をする必要はあろうはずもない。

これだけ長時間、観客の興味を引っ張っておいて最後は、テーマそのものを観客の判断に委ねたのだとすれば、残念ながら僕には、そのような能力がなかったことになる。 
とっても後味が悪い、ただそれだけである。
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