ノウイング (2009)

文字数 741文字

【かけがえのない母なる地球】 2009/8/2



大好物の《破滅SF》、大変ありがとうございました。
小さい頃からSF小僧、還暦前にしてその嗜好は軸ぶれすることもない、と自負している。
中でも思い入れ深大な「人類破滅パータン」、その現代アレンジの妙を楽しませていただいた。

今時のシネマは、油断していると、とんでもない結論に導かれ、
明るくなった客席でひとり茫然と声も出ず立ち上がれないこともある。
さて、当シネマは、そのような怪しさ横溢で、途中から早々とラストシーンを勝手に推量する楽しさがある、まぁ、これもまた楽しからずや。
しかし、そんな余裕も、強烈な事故シーンで軽く一蹴されてしまうという構成がこれまた心憎い。観ていて筋肉が硬直し悲鳴すら呑み込むような悲惨な死の数々が、飛行機、地下鉄で再現される。地上で生命を営んできた人類がそのボーダーを超えた文明域である「空」と「地下」で抹殺される。そこに大きな自然の力が作用していたのは、あまりにも象徴的だった。

ストーリーは、「大予言」ジャンルの謎解きに突き進むかと思いきや、
前述のように正統派SF作法に収束していく。
この展開を唐突、ご都合主義と否定することもできるが、一方では僕のようにSF本格派として歓迎するファンもいるに違いない。
豪速球本格SF作品とまではいかないものの、SF本来の「センスオブワンダー」に立ち戻ったクラシックな味わいを堪能できた。

SFには人類の未来を想像し、繁栄を導き、危機に警鐘を発するミッションがある。
エンターテイメントとしての本シネマにその警鐘を聞いた。

地球は人類にとってかけがえのない星、
その母なる地球に僕らができる残された希望は何なのか?
可能性として存在する異星人にその希望を託する悲しさは、二組の親子だけで充分だ。
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