ザ・バンク 堕ちた巨像 (2009) 

文字数 748文字

【《クライブ・オーウェン》ブランド確立】 2009/4/5



オリジナルタイトル《The Internationl》を《ザ・バンク・・・》としたのは
今まさに進行中の金融発世界不況ブームにあやかったのだろうが、
せっかくの良質アクションシネマのニュアンスを歪めてなければいいが。

ごひいきクライブ・オーウェンがまたまたシネマ史に残る銃撃戦で魅せてくれた。
オープニング早々ベルリンで遭遇する個性的暗殺者、その追跡の始まり。
ミラノでの暗殺者との再会。
NYグッゲンハイムを穴ぼこだらけにしてしまう壮絶な死闘と暗殺者との奇妙な交流。
巨悪バンク崩壊の糸口につながる人生を賭した贖罪。
そしてイスタンブール、法の埒外に生きる決断はいかなるカタルシスを生むのか?

The International のタイトルどおり法執行機関も巨悪(?)もグローバルだ。
巨悪とされているバンクだが「これが現実のシステムなんだ」との見方も指し示す。
そんな巨悪に挑んでいくインターポール捜査官(クライブ)はわかりやすいヒーローだった。

このところ、しばしば汚れファッションで登場するクライブ・オーウェン、
今回はこれに磨きをかけたくたびれ具合だが、
とうとう彼のトレードマークにすら思える信頼感が漂っていた。

ベルリン、ミラノ、イスタンブールなどEU都心の描写が新鮮なのは
トム・ティクバ監督の身上だろう。
国際的ストーリーで陥りがちな大まかさは微塵もなく、
逆に随所に見えるディーテイルがうれしかった。
俯瞰とクローズアップの使い方も小気味良く、
クライブの眼の細かな表情を切り取っていたのが印象的だった。

アクションシネマとしては極上等の仕上がりだった。

老婆心:
イタリアビジネスマンが骨太でお洒落、でもマフィアが一番怖い・・・って?
イタリア好きの僕には複雑だ。

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