チャイルド44 森に消えた子供たち (2014)

文字数 640文字

【これもまた米国流 新冷戦広報戦略?】 2015/7/3



2008年の衝撃的ベストセラーがなぜ今頃になってシネマに?
唐突ですね…としか言いようがありません。

英国作家によるソ連、スターリン時代のスキャンダルを描いた本シネマ原作小説は、
すでに共産主義が失敗したことを再確認しながらも
科学はいつの時代にも有効であることを証明していた記憶があります。

共産主義国家において殺人は在りえない・・・という欺瞞。
生きるためには他人の命を犠牲にすることは決して不正義ではない・・・・という欺騙。
全編を貫く重苦しさエッセンスは今シネマにおいても間違いなく再現されていました。

スターリング政権下のソ連恐怖政治体制の中で御法度の殺人事件、
それもサイコパス殺人を捜査する主人公。
腐った社会体制のもと、タブーに抵抗して捜査を進める経緯が
初めてシネマとして描かれています。

無論、フィクションのエンターテイメントですから当時のソ連の実情との差誤はあるはずです。
映像はあくまでも暗く陰鬱で、心が晴れるようなエピソードも全くありません。
その時代のソ連市民は、生き残るためにできることなら何でもすると決心していたからです。

巨大な恐怖政治に一人挑戦する主人公の味方は誰?
謎に包まれた鉄のカーテンの中で殺人事件の捜査はできるものなのでしょうか?
ミステリーのカタルシスが夫婦愛にとってかわられているのが不思議でした。

そして今また、ウクライナに忍び寄る大国の魔の手を知るとき、
本シネマの政治的意図に気づかないわけにはいきません。

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