ステップ (2020)

文字数 613文字

【懐かしい風景が羨ましい】2020/7/17



一歳半の娘を残して急死した妻に代わって
子育て中心の生活ひと筋の父親(山田孝之)と娘の一生懸命物語。
ただただ父娘二人で障害をひとつひとつ乗り越えていくその姿に
僕は魅せられてしまう、
そしてどこか懐かしさにつつまれてしまう。

物語は2020年3月までの10年間を描いている。
そう、その春以降日本からは日常が消えてしまっているのだ。
シネマに描かれていたのは:
マスクをしない人々、
満員の通勤電車、
授業参観、
居酒屋での飲み会、
病院へのお見舞い、
たった数か月が経過しただけなのに、
今の日本からシネマのような日常風景が消え去ってしまった、人の優しさと一緒に。

父親が10年間の苦労を否定する、
巡り逢った人たちみんなの愛情でここまで頑張ってこれた・・・と語りながら。
祖母や親戚はもちろん保育所の先生、職場の上司・同僚の暖かい支援のことだけではない、
毎晩 亡き妻と娘のことを話し合って明日の育児への活力を養う父親、
ただ娘のためにまっしぐらの生活…そんな姿が僕には懐かしい。

今新型コロナウィルス感染拡大のなか、人々はお互いに近寄らない。
周りへの気遣いが今では危険に変わる。
もしかしたら自分以外の人を信用できなくなってきている…ウイルスは人が運ぶものだから。

そんな鬱陶しい世の中になってしまった2020年の夏、
それでも美紀ちゃんはお父さん(もうパパではない)の愛につつまれて
可愛い中学生になっていることだろう。
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