トスカーナの休日 (2003)

文字数 756文字

【イタリアにいちころ】 2008/1/3



非イタリアから見たイタリアが見事に描かれたコメディの秀作だった。

これまでイタリアビジネスに細々ながら関わってきた身としては、
本シネマのエッセンスが痛いほど、
お腹が痛いほど笑えるぐらいに理解できる。
僕自身イタリア人気質や彼らのQOLに取り憑かれるほどは、
かの国に深入りしなかったおかげで、
いわゆるイタリアにまつわる無垢なイメージを程よい距離を保って、
継続して抱き続けてきたおかげで、
こんな想いを抱くのだろうか?

野暮で無骨でいて気のいいヤンキー女性が陥る、
伝説のイタリアマジックがシネマを貫く。
トスカーナの地で心の傷を癒したい・・・・
と願うヒロインを演じるダイアン・レイン(永遠に可憐なのだ)が
《旅情》のキャサリーン・ヘップバーンに二重写しで見えた。

「君の瞳の中で溺れそう・・・」みたいなイタリア男の台詞に、
とどのつもりいちころになるはその典型か、大笑いだった。
この手のイタリア観光シネマは、ベニスであれ革新的トスカーナであれ、
現実感を排除していて気持ちがいい。
一体イタリア人はなにをして稼いでいるのやら・・・?
皮肉っているわけではない、
これほどまでにイタリアは不思議なエリアゾーンという地位を確立したということなのだろう。

女性を口説くのがすべての男性の務め、
何事もファミリーが最優先、
誰もがハイセンスファッションは当たり前、
スローフードとワインは日常の、これまた当たり前、
カソリック本家のプライド、
外国人を受け入れる博愛、
機能しない公共インフラ、

まるで実際に経験したかのように、
本シネマを観る者はイタリアの虚像を植えつけられていく。
しかし、人の想像する範囲、考察できる領域などは所詮こんなもの、
住んでみたい国イタリア、トスカーナ、
うらやましい限りのイマジネーションだと思う。
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