シューテム・アップ (2007) 

文字数 692文字

【ニュー・シネマです、お勧め。】 2008/10/1



もしかして、こんなジャンルのシネマって過去なかったのかもしれない。
銃撃戦をどう表現するか・・・というただ一点へのこだわりに、
メジャーな役者(クライブ・オーウェン)が挑戦している。

次から次へと繰り出される、あの手この手のガン・ファイト、
50年以上シネマに親しんできた僕でも初お目見えのシーンがずらり。
敵役(ポール・ジアマッティ)との因縁の決着シークエンスだけは、
いつかマカロニウェスタンで観たアイデアの匂いもしたが、
それももはや時効に近い年月と、
指先の炎を息で吹き消すユーモアで挽回している。

そうなんだね、
ここにはシリアスという観念が一切ない。
ないといえば、ストーリーそのものもいい加減。
その代わり、ガン・ファイトに徹底し、
荒唐無稽を敢えて辞さない決意が潔い。

ほんの少しだけの背景説明も、大統領候補のスキャンダルがらみ。
それも一方でアメリカの銃規制問題、
片一方ではクローン臓器移植という、
バランスの悪さ具合からみて、意図的にシリアスを排除していることは窺い知れる。
なにより、主人公の人となりすら面倒くさそうに紹介される、
とりあえず説明なしの不親切は好きじゃない・・・ぐらいの言い訳調で。

この「好きじゃない」
というのがこの主人公のスタンス。
気に入らないから事件に介入する・・・ただそれだけ。
こんなヒーローがメキシコの荒野ではなく、
現代アメリカ都市の伝説となるところが痛快だ。

これはやはりニュー・ジャンルシネマと言い切ってしまおう。
シリーズ化を大いに期待する。
オーウェンさん、ジェームス・ボンドなんかよりこっちの方が面白そう、よかったね。

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