イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 (2014)

文字数 594文字

【イミテーション・ゲームに勝ったのは?】 2015/3/14



近頃おなじみになった、長ったらしい補足タイトル「エニグマと天才数学者の秘密」が怪しい光を放っていた。
エニグマがドイツの叡智を注いだ暗号機を示すもので、その争奪をテーマとした小説、シネマを過去多数作られている。そして、今作は天才数学者が解読する過程が作品のテーマかな?という思い込みがあった。

どうやら、僕が今まで接してきた「エニグマ神話」はでたらめだったようだ。
マイケル・バー・ゾウハー著の「エニグマ奇襲指令(1980)」に代表される暗号機の争奪とは別に、今作のような地道な科学的解読作業が進められていたらしい。
極端に言えば、エニグマ暗号解読成功を隠蔽するために、暗号機の争奪作戦が立案・実行されていたようだ。
しかし本作のテーマは、実はそこでもない。
エニグマ秘密を守るための苦渋の国家レベル犠牲についても、お義理程度にしか語られない。

本シネマの主眼はカンバ―バッチ演じるアラン・チューリングへの畏怖と尊敬だった。
小さい時から人間関係を築くことができなかったアラン、
同級生に恋した同性愛者のアラン、
コンピュータ理論の基礎を作ったアラン、
同性愛の罪で逮捕され、そして自殺したアラン、
近年、ようやく女王陛下により名誉回復がなされたアラン。

想像もしない人物が想像もしない偉業を成し遂げる。
イミテーション・ゲームに勝ったのは誰なのだろうか?
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