エリック・クラプトン~12小節の人生~ (2017)

文字数 759文字

【ノンフィクションシネマの切れ味】 2018/11/29



近年ノンフィクションまたはドキュメントのジャンルのシネマが少なくなった、少なくともシネコンには。
これらのシネマはフィクションがないことを標榜するものだから作り物の感動とは一味違う何かがある、はずだ。一方、シネマはエンターテイメントであれという僕のこだわりもあるので、ノンフィクションシネマも荷が重いものだ。

ついこの間、QUEENとフレディ・マーキュリーの感動シネマを観た。
手練れの俳優が本人たちに似せた演技をする驚きと、ライブシーンのド迫力に圧倒された、上質のエンターテイメントだった。

さて本作はというと、
エリック・プラクトン本人(73歳)を中心にした彼の壮絶な一生(まだ終わってはいないが)のプレゼンテーションだ。
エリック・クラプトンに関する僕の知識は、「クリーム」どまり その後の彼の動向は僕自身の音楽シーンから消えていた。

だから、その後の彼の波乱万丈に驚かされた。
ブルースとジャズとロックの融合を目指し自分の音楽を追求する中で、近しい人たちを傷つけていくクラプトン、
その自己中心な考え方は生い立ちの不幸、冷血な母親にあることを心の底に秘めるクラプトン、
ミュージシャンならではの薬物、アルコールの依存症から抜け出せないクラプトン、
息子の誕生で立ち直るが、非情にもその息子を失ってしまう父親クラプトン、
そこから、また這い上がる不死鳥クラプトンだった。

シネマのほとんどが古いスティル写真と本人、家族、音楽仲間のインタビューで構成されている。これをシネマといっていいものか疑問の残るところだが、貴重なスティルであり証言であることは間違いない。

その代わり「ギターの神」と呼ばれたクラプトンの楽曲はたっぷりと聞くことができる、
こんなノンフィクションシネマもありだろう。
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