イヴの贈り物 (2007)

文字数 508文字

【WOWOWの限界】 2008/10/6



佐藤純彌監督のWOWOWFILMをどう予測するか正直迷った。
主演は舘ひろし、それもアクションから離れた新境地・・・とのことで余計迷った。

佐藤監督は、良くも悪くもシネマならではのダイナミズムが身上。
舘さんは良くも悪くも男臭さが売り、そのコミックなアイロニーはあくまでもパターン。
まして、舘さんはTV世界のスター。
このところ僕がWOWOWFILMに注目するわけが、
TV的手法によるシネマ革新の可能性だったことからして、
最初から本作品の見所は、舘さんに懸かっていた。
望むらくは、彼のイメージチェインジに端緒が開かれたことを。
それにしては難しい役だった。
主人公の「自己中心のずるい男像」を演じるほどに,ヒーローとの齟齬が広がる。
徹頭徹尾主人公は嫌味な男である。
ストーリーは、そんな男たちが戦後日本の主役たちだったことを告発している。
最後の抵抗にしたって自暴自棄以外の何ものでもない。

そこにこのシネマの悲劇がある。
舘さんが熱演すればするほど、僕は彼の中にヒーローを探してしまう。
いまさら、彼に軟弱な初老の男が演じられると期待してはいけなかったのだろうか。
WOWOWの挑戦にも限界はある。
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