イースタン・プロミス (2007)

文字数 844文字

【怖いもの観たさ】 2008/11/24



暴力が好きだとか、暴力に平気だ・・・なんて人はいないと思う。
ところが、
僕のようなそんな一般的性格のシネマファンでも
「怖いもの観たさ」っていう気持ちがあるから世の中面白い。
ましてや、マフィアの世界など日常からかけ離れた別世界,一体どんなところなんだろう?
そんな、暴力と殺戮と血の掟をアームチェアで寛いだまま鑑賞できるのがシネマの魅力だ。

ロンドンの闇に巣食うロシアンマフィアファミリーが今回の
「怖いもの観たさシネマ」の舞台になっている。
劇中、マフィアのボスがいみじくも
「些細なことを軽く扱うと組織の命取りになる」とのたまう。
キーは小さな命と大きなミッション。
ストーリーはこの冷酷非情なボス(ボスだから冷酷非情は当たり前なんだろうが)と、
その跡取り一人息子、
それに怪しげな下っ端ドライバー(ヴィゴ・モーテンセン)達ロシアンマフィア、
彼らに果敢にも抵抗する堅気の看護師(ナオミ・ワッツ)を軸として展開する。

跡取りの息子マフィアがその器でないくせに何かと自己主張して失敗したり、
他ファミリーとの報復合戦があったり、
当然正視しづらい凄惨な血のシーンも多かったり、
その割には警察が姿を見せなかったり
・・・・なところはステレオタイプだろう。

しかし、ロンドンのロシアンマフィアの実態(の様なものかもしれないが)を
垣間見ることができるのは、興味深かったし、
主役(ドライバー)の役柄設定は新鮮だったし、
目玉と宣伝されている全裸のヴィゴの死闘は
掛け値なしの見ごたえだったことは彼の名誉のためにも付け加えておく。

クローネンバーグ監督とヴィゴのコンビは前作(ヒストリーオブヴァイオレンス)から
確実に進化している。
それはひとえにヴィゴの進化ともいえる。
前作などはスーパー助演人に囲まれ本人のみならず観る側も緊張したのを覚えているだけに、
本シネマのヴィゴの余裕あるパフォーマンスは一見の価値ありと思った。

幕切れは最近にないお洒落な余韻が漂い、饒舌シネマの空しさを際立たせてくれた。


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