彼らが本気で編むときは、 (2017)

文字数 516文字

【平成28年 対立する問題点】 2017/2/26



いま時代は大きく変換しようとしている。
その舵はもう取られてしまっているのかもしれない。

生田さんのトランスジェンダー役で話題になっている本作、どうしても《性》の多様性がテーマと思われがちだが、そうでもなかった。思った以上に新しい社会概念への多様性が取り上げられている、まるで未来問題のフリーディスカッションのようだった。

無論、生田さんの渾身の演技は「性同一性」に関して大きな問題提起となる、それはそれでシネマの大きな力だろう。
しかし本シネマは、問題の対立点を隠すことなくさわやかにちょっと露骨に陳列して見せる:

■心も体も女性に変わったにもかかわらず、戸籍を変えないとその人はやはり男性でしかない
■そんな心優しい女性を愛する男性を「性的嗜好」という言葉でしか受け入れられない肉親
■二人に面倒を見てもらう女の子は二人の真の愛情を理解する一方で、母親の養育放棄の犠牲者でもある
■その友達にはゲイの自覚におびえる友達がいる、彼の母親にはLGBTの世界は想像の埒外

もはや男女のノーマルな関係を定義することが難しくなった、子供も大人もそして高齢者も。
近未来日本社会を洞察する教育的なシネマだった。
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