ルーム (2015) 

文字数 466文字

【ジャックに幸多かれ、そしてマムにも】 2016/4/8



壮絶な悲劇に目がくらむ。
シネマ前半では監禁から脱出まで、物語はサスペンスタッチで進行する。
シネマファンとして、無意識にそのスリリングなドキュメンタリータッチの展開に
心を奪われてしまう。
「よかったね、ジャックもマム 二人とも」、
または「犯人は逮捕されたのかな?」とか・・・

そして、
ほんとうの悲劇はそこから始まることに段々気づかされる。
この構成は僕の内なる恐怖を呼び覚ます、
壮絶な…と表現したのはこの救出後の展開だった。

ジャックを認めようとさえしないマムの父親、
マムに生じる誰にも打ち付けられることのない怒り、理不尽な焦燥。
肉親でさえマムの哀しみを癒すことができない、
まして世間は興味本位のみ、またはビジネスとしてのみでしか接してくれない。
犯罪被害者の救済の困難さがしっとりと描かれていく。
そのマムの苦悩を見守りながら成長していくジャック。

ジャックは三度マムを救う。
「ルーム」から、「死」から、そして「抜け殻」から。
「バイバイ、 ルーム」・・・とつぶやくジャックの将来に幸多かれ。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み