プライベート・ウォー (2018)

文字数 697文字

【メリーがのりうつったロザムンド・パイク】 2019/9/18



エンディングロールでメリーの素顔を初めて知る、
メリー・コルヴィンを知りもしない平和ボケの日本人だった僕。
そこで見たメリーの笑顔がす~っと ロザムンドの苦悩の顔に重なってくる。
メリーが本当に幸せだったのはいつごろまでだったのだろうか?

戦場に飛び込んでレポートする記者の心を理解することは難しい、想像すらできない。
彼らは地上の信じがたい罪悪を、平和な世界に安住する人たちに知らせることに
こだわり続ける。
そしてメリーのように戦場症ともいうべきPTSDに罹る、病が癒えるとまた戦場に赴く。
それでも戦争による庶民の惨状は想像しづらく、実際に実態を知る機会は少ない。
平和な生活をすることだけでも、僕らは疲れ切っている。
余計な問題などこれ以上抱えたくない、所詮遠い国の悪い政治家のせいだろう、と思い込む。

本シネマは現在進行形のシリアの惨状を想起させる、まるでノンフィクションのように淡々と。
メリーは伝説の隻眼の女記者、その眼はスリランカの内戦で、
そして精神は多くの戦場で失ってしまう。
メリーにはニュー・ヨークの新聞社に居場所がない、
戦場でも官製広報に頼らず独自に取材する。

どんどんと壊れていくメリー。
メリー・コルヴィンがロザムンドになって今僕の前に蘇ってきた、
そしてシリアの非戦闘員の死を教えてくれる、
2012年メリーが取材中に殺された後6年間で50万人が殺されたことを。


本作は、強いメッセージを持った告発シネマだ、
ロザムンド・パイクを得て、このメッセージは一層強力になった。
そしてロザムンドのキャリアでも異色の輝きを放っているメリー役になった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み