search/サーチ (2018)

文字数 622文字

【シネマがパソコンに乗っ取られた日】 2018/11/2



目玉の異様な宣伝コピーが 「このシネマはPC画面から出ていかない!」
確かにその通り、シネマの完敗だ。
物語の大筋は、一人娘の失踪を父親がPCを駆使してサーチするというもの、その経過をPC画面だけで作り上げている。

当然ながら、きめの粗い画像がスクリーンいっぱいに広がる。
タイトル通り、PCで調べられないものはないことをクリック連続で証明していく。
英文画面とはいえサーチングプロセスは世界基準、毎日僕らが操作していることが大画面に再現される。
しかしPCが大画面という非日常も慣れてくると飽きてくる。
繰り返すが、PCでのサーチは日常なのだから。

サスペンスのコアである娘の失踪が殺人に変わる段階に差し掛かっても、その傾向が継続される、刺激がないのだ。

実は その後の展開が本シネマの見せ場になっていた。
詳細は観てのお楽しみとはいえサスペンスの謎自体は特上ではない、凡庸ですらある。
しかし、PCでのサーチパートから一気にドキュメント画像に変わる(むろんPC画面でだが)と妙に安心してしまう。
最後の最後でじらされた挙句やっとシネマになった・・・・という心理的安心感が湧き出る。

このスタイル、どこかで経験したと思った。
前半 陳腐な筋立て、粗悪な画像、不満と不安に苛まれた後、すっきり説明シネマに移る…あの「カメラを・・」に似ている。

正直な感想だけど、それでも楽しませてもらった。
同じ手はもう食わないけどね。

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