命みじかし、恋せよ乙女 (2018) 

文字数 747文字

【樹木希林的遺作の怖さ】 2019/8/22



邦題の「命みじかし・・・」からすると「物の怪噺」とネタバレすることを懸念もするが、
オリジナルタイトル 「CHERRY BLOSSOMS AND DEMONS」から察すれば
これはファンタジー・シネマでしょ。

ドイツ人の思う東洋的悪霊がお盆に還ってくる幽霊、
それも愛情で冥府に引きずり込もうとする悪質のお化けだとは・・・。
もうすっかり日本人はそんなあの世の世界の怖さを忘れてしまっているのに。
小さいころ、年寄りたちに訊いた怖い幽霊ばなしを思い出して、
一人肌をこわばれせていた僕だった。

前半のファンタジーシークエンスは、したがって僕には理解しがたく苦痛な時間帯だったが、
実は後半におけるドイツ人家族のプロフィールには欠くことのできない布石がたくさん置かれている。
そう、ドイツの悪霊も出てきますが、日本的な幽霊の怖さを感じないのは僕が日本人だから。

こんな展開を、
「樹木希林さん追悼」のために集まったご婦人たちはどう受け止めたことでしょう?
その希林さん、出番は少ないけど「あっ」という間に僕を魅了する。
独シネマの硬質感が彼女の一挙手一投足で和んでくる、日常が戻ってくる、
シネマのなかでは主流ではない 物の怪噺のないシーン、
ドイツ、日本の現実を切り取る映像が、だからこそ光っていた。

まとめると、
本シネマは、前述したように樹木希林さん追悼のシネマである、
と思うと気が楽になり本作が愛おしくなる。
希林さんの「命みじかし・・・」の呟きを僕は決して忘れないだろう。

老婆心:
物の怪に心を奪われると、あの世からお迎えが来る、
ゆめゆめも簡単に人を愛するなかれ、特に鬼籍の人を。
ということで、希林さんの追悼にとどまらず、
彼女を愛するほどの称賛してはいけない。
もしかすると・・・・。
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